記帳代行と契約書
どんな仕事をやる上でも必ず発生する経理業務。なかでもお金の流れを逐一記録する帳簿記帳業務は単調な作業なのに全く間違いを許されない大変な仕事ですよね。
そんな面倒な作業を代行するのが記帳代行サービス。
とても便利なサービスなので、利用しない手はないのですが、契約締結する前に、ちゃんと内容を詰めた契約書を交わすように注意して下さい。
代行業者もプロとはいえど玉石混交。無資格から始められる事業であるので悪徳業者もいるにはいます。そうでなくとも重要な御社の財務情報を渡すわけですから、どんな問題が起こっても責任の所在が定まるような完璧な契約書でなければ安心できません。
記帳代行は契約書なしでも依頼できますが、トラブル防止のためにも契約書作成は必須と言っても良いでしょう。
業者との契約の流れの中でしっかりした契約書の話が出てくるかどうかは、その業者が信頼できるかどうかの判断材料の一つにできます。
契約書の中で確認するべき点
業務委託の範囲
記帳業務は経理の一部です。経理業務のうちどこまでが記帳なのか、はっきりした定義はありません。なので業者に委託する業務の範囲をしっかり定めて共通認識を持つことがトラブルを避けるポイントです。
契約期間
1ヶ月ごとに更新するところが多いようです。注目するべき点は契約期間の長短ではなく、契約更新、途中解約の手続きが容易であるか、払戻金、解約金が発生するのか否かです。
自社に合わないサービスを解約したくなっても途中解約で多額の違約金を請求されたり、逆に契約更新に煩雑な手続きが必要で本業に支障が出てしまっては、アウトソーシングしている意味がありません。基本的なサービスの価格だけでなく、プランの習性が容易かどうか見極めることも大事です。
報酬額
携帯電話の契約などでもあることですが、
基本料金の破格の安さにつられて契約してみたら、基本に含まれるのは最低限のサービスだけで実用に耐えるためにオプションをつけていったら結局割高になってしまった…
なんてことでは困ります。目先のコストだけでなく料金体系も考慮に入れてコスト計算をしていきましょう。
そのためには自社が代行してもらいたいサービスは果たしてどの範囲なのかあらかじめ意識して把握するのが良いかもしれません。
秘密保持義務について明記
最後になりますが、これが一番重要なポイントです。
領収書や伝票など、財務情報を外部の会社に渡す形になるので、契約書に秘密の保持についてしっかり書かれていることを確認しましょう。損害賠償については明記されていますでしょうか。大事なところであるのでもし書き漏れがあったならば、業者から言質を取るだけではなく、書面の形で残すように心がけましょう。
まとめ
このように記帳代行は貴重な会社の内部情報を渡すリスクのあるサービスではあります。この記事を読んで、契約面倒そうだから代行サービスを利用せずに経理は社員にやらせよう。 となるかもしれません。
しかし考えてみると、社員だって財務資料を紛失するリスクは同じです。そして社員は過失に対して有限責任です。
であるならばしっかりとした契約書を出してくる代行業者の方が、信頼して経理を任せるに足るのではないでしょうか。帳簿付けをアウトソーシングした分、社員は価値を生み出す価値ある仕事に集中できます。
そして契約に際しては、しっかりした契約書を交わすように注意してください。