記帳代行を活用する際は、業者ごとに異なる料金プランをしっかり比較していくことが重要です。
多くの場合、依頼する仕訳の数によって料金が変動するため、あらかじめ理解しておきましょう。
今回は、記帳代行の相場について解説します。
およその相場感を知っておけば業者比較を楽にできますので、コストパフォーマンスを重視できる外注先を選定したい企業の方はぜひご活用ください。
早速、記帳代行の相場を探っていきましょう。
記帳代行は原則として依頼する仕訳の数によって料金が変動します。
ここでは仕訳数ごとの相場を探り、外注先選定のヒントとしていきましょう。
ひとつの目安として、1仕訳40円以下であれば安いと考える方法があります。
格安業者の場合、20~40円程度に料金設定していることが多いでしょう。
反対に、40円以上であれば少し高めとする見方が多いです。
一例として、1仕訳40円だった場合のおよその金額を示します。
仕訳数 | 金額 |
---|---|
30仕訳 | 1,200円 |
50仕訳 | 2,000円 |
100仕訳 | 4,000円 |
150仕訳 | 6,000円 |
200仕訳 | 8,000円 |
300仕訳 | 12,000円 |
400仕訳 | 16,000円 |
500仕訳 | 20,000円 |
上記以下になる場合は、安い業者だと判断してよさそうです。
納期やオプションにより変動する場合もあるため、下記も参考にしていきましょう。
ただし、これらは記帳のみを依頼した場合の相場だと理解しておきましょう。
あらかじめ領収書や請求書をPDFなどのデータにできているなど、下準備をしたうえでの依頼であれば40円~が相場とイメージおくのがベストです。
領収書や請求書のデータをPDF・Excelなどに起こせておらず、紙のまま依頼する場合は少し相場が上がります。
ほぼ手入力もしくはOCRスキャンして記帳することになるため、手間の分料金が高くなるとイメージしておきましょう。
紙で依頼する場合は、1仕訳あたり50円~が相場です。
仮に1仕訳50円だとした場合の料金表は下記の通りですので、参考にしてみましょう。
仕訳数 | 金額 |
---|---|
30仕訳 | 1,500円 |
50仕訳 | 2,500円 |
100仕訳 | 5,000円 |
150仕訳 | 7,500円 |
200仕訳 | 10,000円 |
300仕訳 | 15,000円 |
400仕訳 | 20,000円 |
500仕訳 | 25,000円 |
なるべくコストパフォーマンスのよい外注先を選定したい場合は、下記より安い業者を探すことをおすすめします。
また、なかにはまとまった仕訳数になればなるほど1仕訳あたりの単価を抑えてくれるケースもありますので、相談してみることをおすすめします。
領収書や請求書をA4用紙などに貼り付けられておらず、バラバラの状態で依頼する場合はさらにコストがあがります。
ボックスやファイルにそのまま領収書を格納している場合や、用紙に貼り付けるなど整理整頓する手間が惜しい場合は、外注業者をフルに活用して負担軽減を狙っていきましょう。
紙がバラバラのまま依頼する場合は、1仕訳60円~が相場です。
仮に1仕訳50円だとした場合の料金表は、下記の通りです。
仕訳数 | 金額 |
---|---|
30仕訳 | 1,800円 |
50仕訳 | 3,000円 |
100仕訳 | 6,000円 |
150仕訳 | 9,000円 |
200仕訳 | 12,000円 |
300仕訳 | 18,000円 |
400仕訳 | 24,000円 |
500仕訳 | 30,000円 |
データで依頼する場合と比較すると高額に思えますが、その分手間を削減できると考えれば利用するメリットがあるでしょう。
また、上記の料金表以下で記帳してくれる業者であれば非常に安いと言えるため、データ化せず任せたとしてもそう大きな負担にはならないと分かります。
税理士事務所・公認会計士事務所など士業事務所でも、記帳をはじめとするさまざまな経理業務の代行を受け付けています。
税金の申告など独占業務や税務相談などコンサルティングも担当できる業態であり、専門家のノウハウを借りたい企業にとっては大きな助けとなるでしょう。
しかし、税理士事務所などの場合は記帳代行業者よりも相場が高くなります。
もし記帳代行だけを依頼するとなった場合、1仕訳あたりの単価は100円~が相場となるため注意しておきましょう。
念のため、下記に1仕訳100円だった場合の料金表を作成します。
仕訳数 | 金額 |
---|---|
30仕訳 | 3,000円 |
50仕訳 | 5,000円 |
100仕訳 | 10,000円 |
150仕訳 | 15,000円 |
200仕訳 | 20,000円 |
300仕訳 | 30,000円 |
400仕訳 | 40,000円 |
500仕訳 | 50,000円 |
記帳代行業者に最安で依頼したときと比較すると、2.5倍近い差があると分かります。
コンサルティングなども併せてビジネスパートナーとして顧問契約を締結する場合はお得かもしれませんが、代行業者として活用する場合は十分コスト比較をしておく必要がありそうです。
ここからは、記帳代行にかかる料金の全貌について紹介します。
業者により異なるケースもありますが、どんな費用がかかるのがひとつずつ確認してみましょう。
まずは、上記で紹介した1仕訳ごとの費用がかかります。
基本的には「単価×依頼する仕訳の数」で決まりますが、業者によってはまとまった仕訳数を依頼すればするほど1仕訳あたりの単価を抑えられるケースもあります。
まずは料金表を提示してもらうか、見積もりを取るのがよいでしょう。
従量課金制のため、依頼する仕訳数以上の料金が発生しないことが強みです。
業者によっては、月額費用が発生する場合があります。
オンラインアシスタントに代表されるように自社のために一定の人員を確保するような業態や、税理士事務所のように顧問契約を締結する業態の場合は、月額費用がかかると思っておきましょう。
依頼する仕訳のボリュームや依頼の有無に関わらず必要なランニングコストであるため、無理なく支払えそうか事前に試算しておく必要があります。
毎月依頼する仕訳の数があらかじめわかっている場合は、月額費用も含めて単価を試算して比較することもおすすめです。
なるべく安価に抑えたい場合は、月額費用のない記帳代行を活用することがポイントです。
初回依頼時のみ、初期費用が発生する場合があります。
特に会計システムに直接入力してもらう場合や流し込みに適したフォーマットに合わせてもらう場合は、初期費用がかかるケースが多くなるでしょう。
初期費用の相場は、1万円~2万円程度です。
ただし、初期費用がかからない記帳代行も存在します。月額費用と同じく、なるべく安価に抑えたい場合は初期費用のない業者を選定しましょう。
急ぎで記帳してもらいたい場合、特急料金が適用される場合があります。
特に5営業日以内での納品を希望するのであれば、先に相談したうえで見積もりを依頼するとよいでしょう。
特急料金の相場は、1仕訳あたり20円~です。
通常の費用に加え、下記の金額がプラスでかかります。
仕訳数 | 金額 |
---|---|
30仕訳 | 600円 |
50仕訳 | 1,000円 |
100仕訳 | 2,000円 |
150仕訳 | 3,000円 |
200仕訳 | 4,000円 |
300仕訳 | 6,000円 |
400仕訳 | 8,000円 |
500仕訳 | 10,000円 |
なかには1仕訳あたりの特急料金が15円~という業者もありますので、利用していきましょう。
急いで記帳してミスや抜け・漏れを起こしてしまうよりは、多少コストをかけてでもプロに頼んで正確な作業を期待した方がよいケースもあります。
何倍もの費用が取られてしまうことはほぼありませんので、賢く活用していくとよさそうです。
領収書・請求書などの紙書類をスキャンし、データ化してくれる業者もあります。
今後データ管理を検討している場合や、膨大な紙の領収書を保管したくない場合に活用していきましょう。
データ化費用は仕訳ごとの単価ではなく、ページ単位の単価になることが多いです。
1ページあたり20円~が相場であり、それ以下であれば安いと言えるでしょう。
スキャニングや事務作業も同時に請け負っている業者であればパッケージプランを提示しているケースもありますので、相談してみることをおすすめします。
下記のようなオプションをつける場合、別途料金が発生します。
・領収書のノリづけ・グループ化
・ホチキス・クリップ・ふせん留め(外し)
・クリアファイル・クリアポケットへの格納
また、月次減価償却・月次棚卸・予算管理・資金繰り表・経営レポート・部門別管理表・製造原価報告書などを別途作成する場合は、作成費用がかかります。
記帳だけに特化している業者では対応していないケースが多いですが、税理士事務所など専門性の高い外注先であれば併せて依頼できることもあるでしょう。
どこまでオプションを活用するかは企業ごとのニーズにより異なるため、予算と照らし合わせながら検討していくことをおすすめします。
最後に、記帳代行をなるべく安く活用する方法を紹介します。
長期的に記帳代行を使う場合、1回あたりの依頼コストを抑えられれば負担軽減につながります。
単発で急ぎの依頼をする場合にも役立ちますので、チェックしておきましょう。
前述した1仕訳あたりの単価より、安い業者に依頼する方法です。
従量課金制が基本である記帳代行において、1仕訳あたりの単価を抑えられればトータルコストを大幅に減らせます。
その分依頼できる仕訳数が増える可能性もあるため、業務効率化や負担軽減を狙いたい企業ほど安めの業者を探した方がよいでしょう。
月額費用や初期費用は、記帳とは関係のないコストです。
例えば月額費用の場合、人員を確保するためのコストだと言えるでしょう。
初期費用はシステムの設定やフォーマットの作成にかかるコストであり、純粋に記帳のために必要なコストではありません。
そのため、月額費用・初期費用のない記帳代行を選定し、コストパフォーマンスを重視していくことが効果的です。
必要なコストだけを支払うシンプルなシステムになるため、分かりやすい見積もりを重視したい企業にもおすすめの方法です。
記帳代行に関わらず、アウトソーシングを活用する際は納期を急げば急ぐほどコストが上がります。
どうしてもやむを得ない場合は特急料金を活用すべきですが、そうでないなら納期に余裕を持たせた方がよいでしょう。
5営業日以上先の納期を指定しておけば、通常料金が適用される可能性が高まります。
自社でしっかり時間を割いて検収作業をするためにも、納期に余裕があって損はありません。
特に年末年始・決算期・夏期休暇やゴールデンウィークなど長期休暇の前後は経理部が忙しくなることが想定されますので、必要なタイミングから逆算して依頼することが肝心です。
事前に年間スケジュールを立てておけば忙しくないタイミングを狙いやすくなりますので、参考にしてみましょう。
なるべく、領収書・請求書などはデータ化しておきましょう。
ExcelやPDFにデータがまとまっていれば、代行業者は記帳にだけ専念できます。
紙の情報とパソコン上の情報を目視で照らし合わせながら手入力する必要がなくなり、その分1仕訳あたりの単価を抑えてくれることが多いでしょう。
難しい場合でも、A4サイズの用紙など統一されたサイズの紙に領収書・請求書を貼り付けておくことをおすすめします。
段ボールなどに紙をそのまま放り込むだけではどうしても整理のための金額が発生してしまうため、できるところまで自社でまとめることがポイントです。
記帳代行を活用する際は、相場となる金額を知っておくことが大切です。
およその金額が分かれば業者ごとの比較がしやすくなるため、今回解説したことを参考に選定を進めていきましょう。
また、よりコストパフォーマンスよく活用したい場合は、月額費用・初期費用のない業者を選んだり納期に余裕を持ったりしてオプションを使わないようにすることもおすすめです。
可能な限り領収書・請求書を整理しておけば安くしてくれる場合もありますので、まずは気になった業者に相談していきましょう。